YOUは・・    沖ななも(2019年4月号)

 

 「YOUは何しに日本へ」という番組が面白くて時々見る。

成田か関空か、国際線ターミナルで待ち構えていて、あなたは何をするために日本へ来たのかと尋ねるというわけ。観光かビジネスのどちらかと思っていたがそんな事は無い。実に多様だ。ゲームの世界大会があるとかで日本へ他流試合に来たとか、碁だったか将棋だったか、本場日本で学びたいという人もいた。中にはプロポーズに来た、という人やら、恋人の家族にご挨拶に来たなんていう人もいた。来日の理由も国際的だなあと感心しながら見ている。 

英語はよくわからなくて「YOU」は二人称程度にしかしらない。ここでは「あなたは何しに」という意味にとっている。

しかし司会者の言うことを聞いているとやや違うニュアンスで言っているようだ。「YOUがいっぱいいるね」「YOUが集まってきた」「かわいいYOUだね」という具合。つまり「外国人」というニュアンスなのだ。

Why did you come to Japan? 実際にはこう言っているらしいが、「あなたは何しに・・」と日本語でいったら番組のタイトルにはならなかったかもしれない。番組では個人名ではなく、一般名詞のような意味合いもあって使われているともいう。誰々と名指しで言えないのでYOUというのだが、やはり意味からは外国人というニュアンスで使っているように思える。

もちろん英語の意味が変わるわけではないから、辞書に載ることはないだろうが、これだけテレビで毎週言われていたら、変わっていくこともある。言葉は生き物だから。辞書に載らなくても「現代用語の基礎組織」くらいには載るかもしれない。巷で流行り始めると言葉の意味が変わってくることもある。



 

創作四字熟語    沖ななも(2019年3月号)

 

 年末になると「今年の漢字」というのが発表されて、今年は「災」になった。災害が多い年だったという理由だ。清水寺の管長が大きな筆で書くのを大勢の人が見守っている場面がテレビに映し出される。毎年楽しみに待っている人たちがいるらしいし、必ずニュースに取り上げられる。

 サラリーマン川柳というのもなかなか面白い。「父からはライン見たかと電話来る」「新人にメールで指示して返事は〈りょ〉」「俺ン家も長期政権嫁一強」「ヨガマットいつしか昼寝の敷布団」などというのがあった。日本人の言語感覚はすぐれているなあとしみじみ思う。もともと川柳は諧謔味があるのだが、ちょっとした違和感や戸惑いを笑い飛ばしてきた。

 もう1つは創作四字熟語だ。ことしの優秀作品は「蒙夏襲来」(蒙古襲来)、「台量発生」(大量発生)、「地震暗来」(疑心暗鬼)、「朝米歩会」(朝令暮改)、「金農感謝」(勤労感謝)という5つ。

 創作といっても元がある。( )の中が元となる言葉だが、4つめは少し分かりにくいか。アメリカと北朝鮮が首脳会談で歩み寄ったということ。5つ目は、高校野球の金足農高。どれも面白いが、私の気に入ったのは、入選の「賭色公然」。古色蒼然をもじったものだが、カジノ法案が成立したから確かに賭け事が公然と行われることになった。ぴりっとした皮肉が混じっている。

 これらは言葉遊び、文字遊びだが、遊びのなかではかなり知的水準の高いものだろうと思う。何時の世でも国に対する庶民の不満や批判があり、それを絵画や漫画、言語などなど様々な方法で表してきた。

 日本人の、庶民の言語感覚を甘く見てはいけない。